いろとかたちがあらわす、
うつくしい不思議。
透きとおる光がさしこみ、色がうまれる。
小さな動きが、新しいかたちをつくる。
重なる色。
変わり続ける形。
指先で回すたびに、
光は分かれ、また重なり、
形は閉じ、反転し、
別の姿を見せる。
ここは、
色(光のふるまい)と
動き(構造の変化)が
出会う場所。
完成した作品ではなく、
現象が生まれる
その瞬間を見つめる
パズリックアートの世界。
いろCOLOR
色は、塗るものではない。
条件が重なったときに、現れる。
このセクションでは、
色を感情や表現としてではなく、
光と物質の関係から生じる現象として捉えている。
CMYキューブ
CMY CUBE
透明な素材の中に、
光を透す三つの色が配置されている。
色は混ぜられていない。
固定されてもいない。
ただ、重なっているだけだ。
見る位置や光の向き、
手の中でのわずかな回転によって、
色の見え方は毎回変わる。
CMYキューブは、
色を操作するための道具ではなく、
色がどのように生まれるかを
静かに示す存在である。
プリズム分光
PRISM DISPERSION
白い光は、
分けられることで、はじめて色になる。
プリズムを通して現れるスペクトルは、
インクや顔料では再現できない、
光そのものの秩序を示している。
ここで扱っているのは、
「きれいな虹」ではなく、
すべての色が生まれる前の仕組みである。


かたちFORM
形は完成ではない。
関係が続く限り、形も変わり続ける。
このセクションでは、
連結・反転・循環によって生まれる、
終わりを持たない構造を扱っている。
ラッキーキューブ
LUCKY CUBE
八つのブロックが連結され、
内と外は繰り返し入れ替わる。
どこからが始まりで、
どこで終わるのかは分からない。
形は一つに定まらず、
操作するたびに別の構造として現れる。
ラッキーキューブは、
体が必ずしも完成形を持たないことを、
手の中で体験させる構造である。
対称性のあるタングル
SYMMETRIC TANGLE
ほどけることのない曲線が、
空間の中を動き続ける。
一見すると混沌としているが、
ある瞬間、完全な対称が現れる。
それは偶然ではない。
動き続ける構造の中に、
あらかじめ組み込まれた必然である。
タングルは、
秩序が静止ではなく、
動きの中にあることを示している。
うつくしい不思議のしくみを探して
私が探しているのは、「うつくしい不思議」のしくみである。ただの偶然じゃなくて、ちゃんとした"しくみ"があって、そこから自然にあらわれてくる。理を積み上げた先に、ふとあらわれる必然のような偶然。
光と色の中では、重なり合う光が、思いがけない色を生み、つながった形が、ゆっくり動いて思いがけない変化を見せるとき。「なぜだろう?」と考えるよりも先に、「うつくしい」と、心が動く。理と感性が出会うところに、不思議が生まれる。その瞬間、科学とアートのあいだの境目が、ふっと消える。
パズリックアートは、そんな"境目がほどける瞬間"をかたちにしようとしています。しくみが詩になり、すうじが静かに感情を帯びる。
「いろ」と「かたち」が語りかけてくる世界。
うつくしい不思議は、むずかしい説明を必要としません。
むしろ、説明の先に、もっと深く、うつくしさがひろがっている。
「わかる」と「感じる」が、重なる場所。わたしはそこに、アートの未来を見ています。
近刊本のご紹介
「色とかたちのまなざし(仮題)」
現在執筆中です。
刊行時期などの詳細は、あらためてご案内いたしますので、ぜひ楽しみにお待ちください。